<原著論文>ケア/ジェンダー/バーンアウト : 特別養護老人モーム介護職員のケア・ストレスとバーンアウトとの関係をジェンダーの視点から検証する
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概要
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本研究では,特別養護老人ホームの715人の介護職員を対象とした調査結果を用いて,介護職員のケア・ストレスとバーンアウトとの関係性について4つの仮説を立て,ジェンダーの視点から検証した。その結果,仮説11事務職員と比較して,介護職員はバーンアウト得点が高いだろう」,仮説2「介護職員は,女性の方が男性よりもバーンアウト得点が高いだろう」,仮説「社会的支援は女性介護職員のバーンアウトを緩和する効果があるだろう」は検証された。しかし,仮説3「女性介護職員において,家庭内においてケア役割を持つ人は,持たない人よりもバーンアウト得点が高いだろう」は検証されなかった。仕事以外に家庭内において役割を持つ人はバーンアウト得点が低く,逆に持たない人の方はバーンアウト得点が高かった。ケアの役割過重がストレスを引き起こすという結果を導いた欧米のジェンダー・ストレス研究に反する結果となった。この検証結果は,役割理論が主張してきたように,仕事外に複数の役割を持つことで,それらの役割によって自身のアイデンティティを形成できることを支持し,その結果バーンアウトを低減する効果をもつことになったと考えられるかもしれない。バーンアウトはケアを仕事とする女性により多く見られるが,その緩和には,上司や同僚,家族や友人などによる支援が重要な役割を持つことが検証された。
- 2002-03-31
著者
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