<事例報告>幻覚・妄想にもとづいた身体異常感を呈する患者へのかかわりにおける看護者の認識の構造および看護実践上の指針
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概要
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本研究は,妄想や幻覚にもとづいた身体の異常感や痛みを呈している患者への看護の実践上の指針を抽出することを目的とする。「不安」や「恐怖」という感情を土台に作り上げられた像により,身体に異常感や痛みを感じているときは,患者は最も生命力の幅が狭まっていると考えられる。従って,精神科での看護を行う上で,このような状況における看護実践上の指針を抽出する,とは重要な課題である。研究対象は,某精神科に入院中の患者とのかかわり,6事例7場面での看護者の認識である。看護過程を再構成したのち,状況の流れに沿って看護者の認識の特徴を取り出していった。取り出された特徴を概括し,以下の5つの看護実践上の指針を抽出した。1)かかわりの開始時は,患者の全身の感覚受容器が現実の刺激を受け取れるようにする。そのために,患者を脅威にさらさずに関心を寄せ続けることが大切である。2)かかわりを継続している間は,患者から発信されるあらゆる情報をキャッチしながら,患者の認識がどれほど現実的であるかの予測を継続する。3)患者の身体的苦痛の感覚と,苦痛に伴って生活がうまく営めない状況を汲み取り,それを代弁する。4)患者の精神活動に規定された生活様式が身体にどのような影響を及ぼしているかを見抜いた上で,身体ケアを施す。5)患者の持てる力の発現を確認しながら,社会性を拡大させる。
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