『マルテの手記』を読む(III)
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概要
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『マルチの手記』の第三部は,その最終部として新たな展開を見せ,総合へと向かう。本稿第8章では主に第49節のニコライ・クスミチュの挿話を取上げ,その語り口の新しさを確認し,第9章では歴史上の人物記という異質な素材がどのような形で「手記」の中に挿入されるかに注目しつつ,第54,55節のオトレビョフとシャルル豪胆公の挿話を読む。第10章では『手記』後半部で重要な位置を占める愛のテーマについて考察する。マルチの唱える理想の愛とは,他者を拒絶する愛であり,それは必然的に人間的なものの範躊を越えて,神へと向かう愛である。
- 神戸薬科大学の論文
- 2000-02-25
著者
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