<原著>高橋宗恒・高橋宗直 : 笄と簪を発案した有職故実の学者たち
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
古代より日本の女性の美は垂髪にありと,いわれてきた。桃山時代から江戸時代にかけて結髪が流行していたが,あの絢爛豪華な元禄時代を迎えようとしていた貞享年間(1684〜1688)に結髪が発展せず,菱川師宣の「見返り美人」図に見られる「玉結び」が流行していた。当代随一といわれた有職故実の学者である高橋宗恒が,工人に種々の形の笄(当時に笄と簪との区別がない)を作らせた。また,この宗直が簪を発案したともいわれ曖昧になっている。一本脚の簪を宗恒が,二本脚の簪を宗直が紹介した。宗恒は笄の発案者と囃したてられたが,彼はそれを紹介した人である。古代において高髻から垂髪へと移行した過程と同じような傾向にあった垂髪を喰い止め,日本髪の基をつくった彼と,当時の社会情勢を踏まえながら考察したい。
- 山野美容芸術短期大学の論文
- 1996-03-25
著者
関連論文
- 燈籠鬢の成立 : 中国文化受容の江戸時代
- 3Dヘア・シミュレーション・システムの構築 : 美容視覚教育での必要性に着目して
- 日本における縮毛(II) : 洛中洛外図屏風(舟木本)と江戸名所図屏風を中心に
- 平安朝女子の服飾に関する一考察 : 『紫式部日記』及び『枕草子』の解釈を中心に
- 学生による2001年ヘアスタイルの市場調査 : 美容教育的効果と問題点
- 美容表現における黄金分割の応用
- 日本における縮毛 : 近世初期風俗画にみる美意識
- 美容界におけるパッチテストの重要性(I)
- 頭髪の生理及び薬理(II) : 頭髪の洗浄に関する研究(I)
- 女神象にみる日本古代の髪形の変遷 : 一髻から大垂髪まで
- 頭髪の生理及び薬理(I)毛幹の特徴に及ぼす年齢の影響
- 高橋宗恒・高橋宗直 : 笄と簪を発案した有職故実の学者たち
- 結髪の用具「笄と釵」 : 女性風俗垂髪とのかかわりあい
- 眉の化粧法における変遷
- 江戸時代の髪形 : 髪形の変遷にみられる日本人の美意識