北国における高齢者の衣生活研究
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概要
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北国に住む高齢者の衣生活の質の向上を目指し,衣生活の実態と意識を調査した。道内主要都市6ヵ所に在住する65歳以上の健康な男女132名を対象に,生活の満足度,冬服の着用実態,被服行動の意識等の質問項目を面接形式で実施した。成果:被験者の90%以上が生活に満足し,自分の趣味や老人仲間との交友に生きがいを感じていた。冬服の着用実態として,男性は下着が長袖シャツにブリーフと長丈パンツを着用し,女性はシャツに五分丈パンツや七分丈パンツを着用し,男女ともに保温性を確保していた。室内の上着では男女ともにセーターとズボンスタイルが7割以上をしめていた。また男性の普段着として着用したい服種は,セーターとズボンで外出着としてはスーツまたは,サファリー風ジャケットとズボンの組み合わせであった。女性は普段着としてパンツを選んでいるが,外出着には8割以上がスカートを選んでいた。次に被服行動の意識調査結果から,「着やすく,動きやすく,素材は柔らかいもの」に高い評価があり,肩に負担がかからない着装を好んでいることが分かった。被服行動の因子分析結果では「おしゃれ性」「素材性」「機能性」「着装の好み」「ゆとり性」の5因子が抽出された。さらに被験者の年齢を高低に分け因子得点の平均値を求めた結果,71歳未満の低年齢層は素材を重視し,72歳以上の高年齢層は機能性と着装の嗜好が高い傾向にあり,男女別の因子得点平均値からは女性のほうがおしゃれ性が高く,素材へのこだわりが高い傾向にあることが分かった。マズローの欲求階層理論を応用しての質問からは,生理的欲求と所属の欲求の被服行動が高く,安全性の欲求と自己実現の欲求は低く現れた。
- 2003-10-01
著者
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辻 美恵子
浅井学園大学短期大学部
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富田 玲子
浅井学園大学短期大学部
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永田 志津子
札幌国際大学短期大学部
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福山 和子
北星学園大学短期大学部
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北村 悦子
浅井学園大学短期大学部
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泉山 幸代
浅井学園大学短期大学部
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泉山 幸代
北海道浅井学園大学短期大学部
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辻 美恵子
北海道浅井学園大学短期大学部
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北村 悦子
北海道浅井学園大学短期大学部
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大信田 静子
北海道浅井学園大学短期大学部
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高岡 朋子
北海道浅井学園大学・北方圏生活福祉研究所
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富田 玲子
北海道浅井学園大学短期大学部・北方圏生活福祉研究所
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