<論考・研究ノート>〓林兆恩的《老子〓略》 : 明代的《老子》研究之五
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概要
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林兆恩(1517-1598)は李卓吾とともに,明の嘉靖・万暦時期に有名な学者である。明の時代における「老子」のついての研究著作は考証的なものより,解釈的なもののほうがずっと多いと思われる。「老子釈略」という本も「老子」を解釈しながら,林兆恩自身の思想を反映する作品でもあるかと思われるが,この本についての研究論文は筆者の知るかぎり,いままでなかった。本論は「老子釈略」を中心に,関連のいくつか問題を検討するものである。「老子釈略」の成立時期を推定し,林兆恩が強調した「常道」などの概念を吟味しながら,その内容および特色を論じる。その上で「老子釈略」という本が林兆恩の思想に,及び明の時代における「老子」研究の流れの中に占めた地位についても検討する。本論は筆者の一連の「明代の老子研究」の第五篇である。