微小乳頭癌成分をともなった大腸原発CK7陽性, CK20陰性, CDX2陰性低分化腺癌の1例
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概要
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症例は53歳,女性.CTにて上行結腸の壁肥厚,多発肝腫瘤,腹水貯留と傍大動脈リンパ節腫脹を認め,下部消化管内視鏡検査にて上行結腸に全周性の腫瘍を認め,生検にて低分化腺癌の診断となり,免疫染色にてCK7陽性,CK20陰性,CDX2陰性であった.また粘液形質は,MUC2陽性,MUC5AC・MUC6陽性細胞も散見され,その他CEA陽性,CA19-9,TTF-1,GCDFP-15は陰性であった.腹水細胞診はclass Vであった.免疫組織学的には大腸癌としては非典型的であり卵巣癌パターンであったが,諸検査により大腸原発低分化腺癌と診断した.大網転移組織には微小乳頭癌組織(MC)が認められた.腫瘍部の免疫組織染色ではMLH1・MSH2蛋白の発現は正常であった.mFOLFOX6療法を開始するも急激な腫瘍の増大を認め,癌性リンパ管症を併発し,診断1カ月後に永眠された.粘液形質,CK発現型,MC成分の存在などが高悪性度を規定する可能性があり,転移再発高リスク群を抽出すべく詳細な病理学的検討が望まれる.
- 2011-12-05
著者
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黒岩 巌志
小樽協会病院消化器内科
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平山 眞章
小樽協会病院消化器内科
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飛岡 弘敏
小樽協会病院病理診断部
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平山 眞章
北海道消化器科病院内科
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平山 眞章
小樽協会病院 消化器内科
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飛岡 弘敏
小樽協会病院病理検査部
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高橋 洋
小樽協会病院消化器内科
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