透析患者における血清終末糖化産物(AGEs)濃度 : セベラマー塩酸塩投与の効果
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概要
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終末糖化産物(AGEs)は糖尿病や尿毒症において生成が促進され,血管合併症の発現に深く関与していると考えられている.今回われわれはリン吸着薬であるセベラマー塩酸塩によるAGEsの吸着除去効果につき検討した.3か月以上安定して週3回の血液透析を施行している患者9例を対象に,炭酸カルシウムから徐々にセベラマー塩酸塩に変更し,最終的に全例にセベラマー塩酸塩4.5g/日,1例に炭酸カルシウム1.5g/日を投与した.24週間経過を観察しAGEs,脂質,カルシウム,リン,intact PTHおよび高感度CRPの血清濃度を検討した.AGEsは食品中に多く含まれるglucose由来のGlc-AGEsおよび生体内で生成され強い毒性を呈するglyceraldehyde由来のGlycer-AGEsをELISA法で測定した.Glc-AGEsは29.64±7.86U/mLから12週後25.41±11.27U/mLと変化はなかったが,24週後13.97±10.21U/mLへ有意に低下した.またGlycer-AGEsも8.31±1.23U/mLから12週後に8.27±0.73U/mLと変化はなかったが,24週後5.49±1.04U/mLへ有意に低下した.Non-HDLコレステロール値は127±34mg/dLから4週後84±25mg/dLと有意に低下し,24週後も80±15mg/dLと有意な低値を持続した.血清カルシウム,リン,intact PTHおよび高感度CRP値には24週後に有意な変動は認めなかった.Glc-AGEsは経口的に体内に取り込まれ強毒性のGlycer-AGEsの産生を増強することが報告されており,血清AGEs値の低下はセベラマー塩酸塩による食事中のAGEsの吸着除去効果も考えられるが,その他オキシダントなどさまざまな物質の除去による酸化ストレス軽減も影響している可能性が考えられた.これらの効果により透析患者の血管合併症の進展抑制が期待される.
- 2011-10-28
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