有田川における在来魚の冷水病菌保菌状況とカワムツから分離された冷水病菌のアユに対する病原性
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概要
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アユの冷水病は全国の養殖場、河川で多発し、内水面漁業振興の大きな妨げとなっている。河川におけるアユ冷水病の発生は、保菌が疑われる放流種苗やオトリアユ等の河川への持込みが主な原因になっていることが報告されている。しかし、種苗放流前や無菌種苗を放流した河川でも発生することがあり、原因はアユ以外の魚種にもあると考えられている。冷水病菌はPCR-RFLP遺伝子解析によりAS型、AR型、BS型、BR型に類別されているが、河川でアユの冷水病死亡魚や保菌魚から分離されるのはAS型とAR型であることから、アユの大量死の原因となるのはAS型、AR型であると考えられている。したがって、河川でのアユ冷水病菌の感染環を解明するには、アユ以外にAS型、AR型を保菌する魚種が存在するかどうか把握することが重要である。アユ以外の魚種ではオイカワ、アカザからAS型が、オオクチバス、ヌマチチブ、カダヤシからAS型、AR型が分離されたことが報告されているが、これらの魚種以外の報告はない。筆者らは和歌山県北部の有田川においてアユを中心に在来魚を採捕し、冷水病菌の保菌状況を調査した。その結果、カワムツからAS型菌を分離することができ、分離菌のアユに対する病原性を調べたので、結果を報告する。
- 2009-12-20
著者
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原田 慈雄
和歌山県農林水産部食品流通課
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藤井 久之
和歌山県農林水産総合技術セ 水試
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藤井 久之
和歌山県農林水産総合技術センター水産試験場内水面試験地
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小峠 利勝
和歌山県内水面漁業協同組合連合会
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