各種有痛疾患に対する経口トラマドールの鎮痛効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
各種有痛疾患(n=456)にトラマド−ルをシロップ製剤として経口投与し,鎮痛効果,至適維持量,副作用,安全性を検討した.痛みの程度が5段階の言語式評価スケール(verbal rating scale:VRS)で3以上の症例を検討の対象とした.トラマドールを0.5-2 mg/kg/日(分2-4)で服用を開始し,2日から84日後まで服用量を調節した.トラマドールの服用量は20-450 mg/日であった.全体の50%の症例で,痛みはVRSで2以下になった(38.2%は痛みが軽快し,トラマドールの服用が不要になり,11.8%ではトラマドールを服用し,痛みが軽減していた).トラマドールは,帯状疱疹,帯状疱疹後神経痛で有効例が多く,複合性局所疼痛症候群,血管病変,がん性痛では,他の薬剤や治療法へと変更した症例が多い傾向であった.トラマドールの服用後に,嘔気・嘔吐,ふらつき,便秘が生じたのは全体平均で2-12%であったが,重篤な副作用はなかった.トラマドールでは,侵害受容痛,神経障害痛ともに良好な鎮痛効果が得られたので,各種難治性の痛みの治療法の一つとして,幅広い臨床応用が期待される.
- 2011-09-25
著者
-
入江 潤
西神戸医療センター 麻酔科
-
裏辻 悠子
労働福祉機構神戸労災病院麻酔科
-
入江 潤
労働福祉機構神戸労災病院麻酔科
-
森川 修
労働福祉機構神戸労災病院麻酔科
-
伊福 弥生
労働福祉機構神戸労災病院麻酔科
-
末原 知美
労働福祉機構神戸労災病院麻酔科
関連論文
- 臨床経験 ジブカインによる脊髄くも膜下麻酔後に馬尾症候群を来した3症例
- 冠動脈バイパス術の人工心肺離脱時におけるミルリノン投与群と非投与群の循環動態の比較検討
- 各種有痛疾患に対する経口トラマドールの鎮痛効果
- 各種有痛疾患に対する経口トラマドールの鎮痛効果
- 頸椎後方固定術後に上気道閉塞をきたした3症例