多彩な血管病変をきたしたSLE(全身性エリテマトーデス)による腹膜透析の1例
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概要
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症例は60歳,女性.SLEによるループス腎炎のため慢性腎不全に至り,2001年5月に腹膜透析を導入.2008年12月,急性大動脈解離を発症し上行大動脈置換術を施行.術後ワーファリンによる抗凝固療法を行っていた.2010年8月,CAPD腹膜炎にて入院した際,特に誘因はなく左腸腰筋出血を発症した.輸血,安静による保存的治療で止血し得た.また,頸部に血管雑音を聴取したため頸動脈エコー検査を施行.両側総頸動脈に広範な解離所見を認めた.このような多彩な血管病変を呈した背景としてSLEによる自己免疫異常,血管炎,ステロイド治療による動脈硬化への影響,腹膜透析によるリン,カルシウム代謝異常などさまざまな要因が関与していることが考えられる.SLEの治療法の向上に伴い長期予後は大きく改善している.その一方で今後,動脈硬化をはじめとした血管病変の発生頻度が高くなることが予想され,さらなる症例の集積,合併症予防についての検討が必要である.
- 2011-09-28
著者
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棚瀬 健仁
東京共済病院腎臓内科
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棚瀬 みやび
東京共済病院腎臓内科
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田村 博之
東京共済病院腎臓内科
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片岡 和義
豊島中央病院腎臓内科
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神戸 茂樹
豊島中央病院腎臓内科
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青沼 里奈
豊島中央病院腎臓内科
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石下 晃子
豊島中央病院腎臓内科
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棚瀬 みやび
豊島中央病院腎臓内科
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棚瀬 健仁
豊島中央病院腎臓内科
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岩嵜 友視
豊島中央病院血管外科
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田村 博之
豊島中央病院腎臓内科
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