CAPD患者に合併した横隔膜交通症に対して胸腔鏡下横隔膜縫縮術を施行した1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は56歳,女性.慢性糸球体腎炎による慢性腎不全のため,2005年12月に持続腹膜透析(CAPD)を導入した.2006年3月になり起座呼吸が出現した.受診時,胸部X線上で右側に大量の胸水貯留を認めて入院となった.胸水中のグルコース濃度は血中にくらべて著しく高値であり,横隔膜交通症を疑った.99mTc-MAAを用いた胸腹腔シンチ所見で,腹腔内に注入した透析液の胸腔内への取り込みを認め,診断は確定した.CAPDの継続を希望したため,CAPD液の少量頻回交換を行ったが,改善を認めず,胸腔鏡下横隔膜縫縮術を施行した.胸腔鏡下で横隔膜に2箇所の嚢胞を観察した.腹腔内へインジゴカルミンで着色した透析液を注入したところ,嚢胞は淡青色に染まり,うち一つからは透析液の流出が確認できた.これらをステープラーで縫合し,CAPD液の漏れがないことを確認して手術を終了した.術翌日にはCAPD液の少量貯留から再開できており,術後6日で退院した.術後2年10か月が経過した現在でも再発を認めない.胸腔鏡下の手術は,横隔膜交通症の治療として有効であり,また比較的低侵襲であることから,今後積極的に考慮されていくべきだと考える.
- 2009-09-28
著者
-
棚瀬 健仁
東京共済病院腎臓内科
-
棚瀬 みやび
東京共済病院腎臓内科
-
友常 里奈
東京共済病院腎臓内科
-
吉川 桃乃
東京共済病院腎臓内科
-
秋山 由里香
東京共済病院腎臓内科
-
田村 博之
東京共済病院腎臓内科
関連論文
- CAPD患者に合併した横隔膜交通症に対して胸腔鏡下横隔膜縫縮術を施行した1例
- 血液透析患者におけるマキサカルシトール、静注カルシトリオールの二次性副甲状腺機能亢進症に対する効果比較
- 多彩な血管病変をきたしたSLE(全身性エリテマトーデス)による腹膜透析の1例
- PDのQOLの評価について (第12回 日本腹膜透析研究会より) -- (ワークショップ PDとQOL)