エナメルタンパクの炎症抑制効果
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概要
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歯周組織再生療法で臨床応用されているエムドゲン®ゲルには術後の炎症反応が少なく, 良好な治癒機転をたどることが知られていることから, 主成分であるエナメルタンパクに炎症を抑制する成分が含まれると考えられる。本研究は歯周治療におけるエナメルタンパクの炎症抑制効果とそれに関与する成分を明らかとすることを目的とした。ヒト歯肉線維芽細胞の細胞培養系でLipopolysaccharide (LPS)刺激により, IL-6, IL-8, COX2 遺伝子発現の増強とNF-κBのリン酸化が亢進することを確認した系において, ブタ幼若エナメル質から抽出したエナメルタンパク粗抽出物の添加で濃度依存的に起炎状態の抑制を認めた。そこでこのエナメルタンパク粗抽出物を50mM炭酸バッファー(pH 10.8)中のTSK gel G-3000PWのカラムのゲル濾過HPLCで7つのタンパク画分に分け, それらについて炎症抑制効果を調べたところ, 特定の画分で起炎状態の抑制を認めた。抑制効果を示した画分を4Mグアニジン溶液(pH 7.4)による会合を抑制する条件の同じカラムのゲル濾過HPLCでさらに分画したところ, 主要画分の特定の部位で起炎状態の抑制を認めた。各画分の電気泳動後の解析結果から, これらの画分にはアメロゲニンの分解産物が多く含まれていたが, 特にシースプロテインが含まれる画分において抑制効果が高かった。したがって, シースプロテインに炎症抑制効果がある可能性が示唆された。日本歯周病学会会誌(日歯周誌)51(1) : 38-50, 2009
- 特定非営利活動法人 日本歯周病学会の論文
- 2009-03-28
著者
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