小脳の計算機構の完全理解とその応用を目指して
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概要
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小脳は様々な外的·内的オブジェクトの内部モデルを構築してその挙動を模倣する,万能シミュレータであると考えられている.万能シミュレータを実現する,万能の計算機械としての小脳の計算機構を神経回路網のレベルで解明し,Marr-Albus-Itoのパーセプトロン仮説を刷新するとともに,一方でその新しい計算機構の工学的な応用を模索する.それらを通して,小脳に関して基礎理論から応用まで統一的な視点を得ることが近い将来の課題である.この課題を解決すれば,小脳が担う運動制御のためのルーチンが抽象的な思考の制御に応用されているとする,最近の仮説をサポートする強力な小脳モデルが手に入り,『思考』を研究するための足がかりになる.さらに,従来の制御理論では対応できなかった『適応』のための機構を提供し,工学と脳科学の融合に結びつくことが期待される.まとめると,理論と実験の融合も,神経回路網の計算機構の解明も,思考研究のきっかけも,工学転用も,全ては小脳から始まる.
- 2009-12-05
著者
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