穿破による大量胸水を伴った神経鞘腫の一例
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概要
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症例は20歳女性.2005年7月上旬に感冒様症状で内服治療を受けたが改善なく,7月23日胸部X線写真で左大量胸水と縦隔の右方偏移を指摘され,紹介受診した.胸部CTでは左肺は完全に虚脱し,後縦隔に約80mm大の腫瘍が認められた.呼吸困難が強く,入院後直ちに胸腔ドレーンを挿入した所,計5,000ml淡血性の胸水排液を認めた.胸水細胞診ではClass IVと腺癌が疑われたが,胸部CT,MRIの画像所見や腫瘍マーカーでは悪性所見に乏しく,CTガイド下針生検を施行した.生検の組織診では神経鞘腫と診断されたため,縦隔腫瘍摘出術を実施した.腫瘍は縦隔から胸腔内に突出していたが脊椎管内の進展や椎体への癒着は無く,容易に腫瘍摘出が行いえた.摘出標本の組織診断も神経鞘腫であり悪性像は認められなかった.術後経過は良好で,現在まで再発は認めていない.大量胸水を伴った神経鞘腫の報告例は稀であり,その発症機序について文献的考察を加え報告する.
- 2009-05-15
著者
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有村 隆明
新潟県立中央病院 心血管・呼吸器外科
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篠原 博彦
新潟県立中央病院
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矢沢 正知
新潟県立中央病院
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矢沢 正知
新潟県立中央病院 心血管・呼吸器外科
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篠原 博彦
新潟県立中央病院 心血管・呼吸器外科
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