乾乳牛における歩行・走行運動負荷時の心拍数および血中乳酸値
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
乳牛の運動負荷時の生理反応を知る目的で,ラウンダーまたは運動トラックを用いた歩行・走行による運動負荷が,心拍数(HR)および血中乳酸値(BL)に及ぼす影響について検討した.試験は繋養した15頭のホルスタイン種乾乳牛を用い2つの実験を行った.供試牛の平均の年齢および体重は,5.6±1.7歳および786±72kgであった.実験1ではラウンダーを用い,5段階の歩行速度で10分間の歩行運動を行った.また,実験2では1周100mの運動トラックにおいて,4段階の速度で各3周の歩行または走行運動を行い,その時のHRおよびBLをそれぞれ測定した.歩行・走行速度(WRS)とHRの関係は,11.3〜64.7m/分の速度とHRとの間に有意な相関(r=0.73)が認められ,直線回帰式が得られた(実験1).また,50〜最大186m/分の速度とHRとの間にも有意な相関(r=0.75)が認められ,実験1と同様に直線回帰式が得られた(実験2).WRSとBLの関係は両者間に有意な高い相関(r=0.94)が認められ,指数曲線回帰式が得られた(実験2).この回帰式から判断すると,乳牛において歩行速度が49.8m/分未満は有酸素的な代謝からのエネルギー供給であり,そこから速度139.5m/分までは徐々に無酸素的なエネルギーの供給が加わり,そして,この速度を超えると血中乳酸の蓄積が認められ,無酸素的な代謝によるエネルギーの供給がさらに高まることが示唆された.
- 2006-08-25
著者
関連論文
- 牛胚の性染色体分析法およびPCR法による性判別
- 非共培養系(HECM-1)におけるウシ胚の発育 : 血清・成長因子の添加時期の検討
- 乾乳牛における歩行・走行運動がストレスホルモンほか血液成分,血球数および貪食細胞機能に及ぼす影響
- 初乳形成に向けた乾乳期乳腺免疫機構の変動とラクトフェリンの関与
- 初乳形成に向けた乾乳期乳腺免疫機構の変動とラクトフェリンの関与
- 乾乳牛における歩行・走行運動負荷時の心拍数および血中乳酸値
- 黒毛和種繁殖牛の代謝性ホルモン分泌に及ぼす圧片トウモロコシの影響
- 乾乳期のウシの歩行運動負荷が周産期の血液性状、インスリン感受性および免疫活性等に及ぼす影響(日本家畜管理学会・応用動物行動学会2008年度春季合同研究発表会)
- 乾乳牛のパドック管理が維持行動、運動量、負荷運動時の心拍数および免疫活性に及ぼす影響(乳牛・ヒツジの行動・生理と管理)(日本家畜管理学会・応用動物行動学会合同 2004年度春季研究発表会)
- 中国安徽省の肉牛経営と酪農の現状(2)
- 中国安徽省の肉牛経営と酪農の現状(1)
- 乾乳牛における歩行・走行運動がストレスホルモンほか血液成分, 血球数および貪食細胞機能に及ぼす影響