非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬エトラビリン(インテレンス^【○!R】錠100mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
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概要
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エトラビリン(ETR)は,ジアリルピリミジン骨格を母核とする新規の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)で,野生型ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および既存のNNRTI耐性株に対し強力な抗ウイルス活性を示す.ETRは柔軟な立体構造を持ち,NNRTIが結合する逆転写酵素内の疎水ポケットで複数の配置を取るため,耐性変異によるポケット内の構造の変化に対しても対応が可能となり,NNRTI耐性株への感受性が維持されると考えられる.さらに,in vitroでの検討からETRは耐性を引き起こしにくく,感受性の低下には既存NNRTIよりも多くの変異の発現を必要とする遺伝的障壁(genetic barrier)が高い薬剤であることが示された.既存のNNRTI耐性を含む多剤耐性HIV-1に感染し,治療選択肢が限られた患者に対する第III相比較試験において,24週および48週時解析においてETRはプラセボに比し統計学的に有意に高いウイルス学的効果を示し,長期投与時においても忍容性が高いことが確認された.類薬のうち世界的に汎用されているエファビレンツ(EFV)で多く認められている精神神経系事象はETR群とプラセボ群に差がなく,ETRはEFVと安全性プロファイルが異なる新しいNNRTIであることが示された.既存のNNRTIに対する耐性には著しい交叉耐性が知られているが,既にNNRTIに対する感受性の低下を示す患者に対しても,ETRは有効性および安全性の両面で新たな治療選択肢の1つとなることが期待される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2009-10-01
著者
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原田 寧
ヤンセン ファーマ株式会社前臨床開発部 薬理グループ
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藤井 秀二
ヤンセン ファーマ株式会社前臨床開発部 薬理グループ
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岩田 理子
ヤンセン ファーマ株式会社前臨床開発部 薬理グループ
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吉田 慎哉
ヤンセン ファーマ株式会社臨床開発第1部
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原田 寧
ヤンセン ファーマ株式会社 研究開発本部
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