薬理学研究における経時データ解析の考え方 : 血圧降下試験事例による解説
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概要
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薬理学研究から得られる経時データに対して,様々な統計手法が適用されている.しかし,適切な統計解析法なのかが明確にされていないために,反復測定分散分析(Repeated measures ANOVA)を行い,薬剤因子と時間因子の交互作用に有意な差があれば,時点ごとに多重比較法により輪切り的に群間の平均値を比較する方法が標準的になっている.今回,経時的に測定された血圧データを用いて,降圧剤の薬効評価の観点からその問題点について検討した.反復測定分散分析において,投与前値を含む実データを使うか,投与前値からの差のデータを使うかによって分散分析表の見方が全く異なることを示した.経時データのエンドポイントとして,1)効果が最大となる時点,2)曲線下面積,3)薬効の発現時点,4)投与前値までの回復を取り上げ,設定のための着眼点について例示した.投与前値をどのように考慮するかについて,1)投与開始後のデータのみを用いた方がよい場合,2)投与前値を共変量としてよい場合,共変量としてはならない場合に分けて述べた.投与中止後の投与前値への血圧の回復を判定する場合には,有意差検定より差の信頼区間を用いる方が望ましいことを例示した.
- 2009-06-01
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