透析患者の結核補助診断における QuantiFERON^【○!R】TB-2G の有用性について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
背景:日本は結核発生率がほかの先進諸国に比べ高く,なかでも透析患者における結核発生は非常に多いことが知られている.しかも,透析患者では肺外結核の割合が高く診断に苦慮する症例が多い.最近,新たな結核補助診断法としてBCG接種の影響を受けない体外診断検査法QuantiFERON®TB-2G(QFT)が開発され,一般患者での有用性が示されているが,免疫能が低下している透析患者における有用性は示されていない.今回われわれは少数ではあるがQFTの透析患者での有用性を検討した.方法:活動性結核症例5例,非結核症例24例,陳旧性結核4例の計33例の透析患者でQFTを検討し臨床診断結果と比較評価した.結果:33例中QFT陽性が6例.そのうち5例が活動性結核であり,1例は陳旧性結核症例.陰性14例中13例は非結核症例で1例は陳旧性結核症例.判定保留5例中非結核症例が3例,2例は陳旧性結核,判定不可8例はいずれも非結核症例であった.また,この中で臨床の現場で診断に苦慮すると思われる不明熱および原因不明の胸水症例9例について検討すると,5例がQFT陽性であり,そのいずれもが肺外結核.残り4例はいずれもQFT陰性でありSLE胸膜炎,感染性心内膜炎,感染性大動脈瘤,原因不明が1例ずつであった.結論:以上の結果より,透析患者においてもQuantiFERON®TB-2Gは肺外結核の診断に有用であることが示唆された.
- 社団法人 日本透析医学会の論文
- 2008-01-28
著者
-
柴田 真希
国立国際医療センター戸山病院腎臓内科
-
片桐 大輔
国立国際医療センター戸山病院腎臓内科
-
星野 太郎
国立国際医療センター戸山病院腎臓内科
-
多田 真奈美
国立国際医療センター戸山病院腎臓内科
-
井上 剛
国立国際医療センター戸山病院腎臓内科
-
中村 太一
国立国際医療センター戸山病院腎臓内科
-
日ノ下 文彦
国立国際医療センター戸山病院腎臓内科
関連論文
- 内シャント刺入部感染による胸腹部大動脈人工血管感染をFDG-PETにより診断しえた1症例
- 約35年の維持透析施行中にS状結腸穿孔から3度の心停止に陥り,PMX,CHDF,PEにて延命し得た1例 (第19回 日本急性血液浄化学会 PROCEEDINGS-2008[急性期治療と先端血液浄化技術の更なる融合を!]) -- (各種病態症例報告1)
- トリコテセンの毒性影響としての腎障害
- 心機能と血圧
- 原因不明の胸水貯留を繰り返し, 剖検にて尿毒症性胸膜炎と診断し得た維持透析患者の1例
- セミナー/カンファレンスシリーズ(第4回)意識障害を呈した急性腎不全の1例--国立国際医療センター戸山病院 内科カンファレンスから
- 敗血症および播種性血管内凝固をきたした気腫性腎盂腎炎の1例
- 透析患者の結核補助診断における QuantiFERON^【○!R】TB-2G の有用性について
- 高度肥満の是正が尿蛋白減少に寄与したIgA腎症の1例
- 症例 保存期腎不全から末期腎不全まで透析をせずに経過を追った1剖検例
- トリコテセンの毒性影響としての腎障害
- Survey of dialysis facilities for HIV-infected dialysis patients
- 心機能と血圧
- HIV感染患者における透析医療の推進に関する調査