コリン仮説とアミロイド仮説によるアルツハイマー病治療薬開発の新アプローチ
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概要
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世界で始めてアルツハイマー病の治療薬として承認されたものはコリン仮設に基づくものであった,すなわちアセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬である.その後の研究からAChE阻害薬は神経保護作用やアルツハイマー病(AD)の原因と考えられているβアミロイドの産生を抑制することが示されている.仮にこれらの作用がMCI(Mild Cognitive Impairment)に対して効果が示されれば,AChE阻害薬の新たな方向が見出されることになる.最近,選択的なブチリルコリン(BChE)阻害薬はアセチルコリン(ACh)を増加すること,またβアミロイドの産生を抑制する作用が報告された.さらなる研究が必要ではあるがコリン仮説の別な視点での治療薬に繋がる可能性が示されれば大変興味ある知見となる.しかし現在のADの原因に迫る治療薬としてはアミロイド仮説に基づくものが最も有力である.βアミロイドを産生する酵素はAPPと呼ばれる前駆タンパク質からβアミロイドを切り出してくる.その酵素はαセクレターゼ,βセクレターゼ,γセクレターゼである.αセクレターゼはβアミロイドそのもを切断する酵素であり,この場合は活性化するものがβとγのセクレターゼは阻害薬が望むものとなる.この考えかたに基づく方法はアミロイド仮説と呼ばれるものだが,すでに臨床試験に入っている化合物がある.近い将来ADを原因から治す薬が開発されることも夢ではない.
- 2008-05-01
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