α-アミノニトリルジアステレオマーの配座解析
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概要
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ジアステレオマーの関係にある2つのα-アミノニトリル[1S,2R,(S)]-および[1S,2R,(R)]-N-シアノフェニルメチル-1-アミノインダン-2-オール[(S)-1および(R)-1]の配座解析をDFT B3LYP/6-31G*レベルで行った.その結果,両ジアステレオマーは,配座異性体の混合物として存在することがわかった.(S)-1では,エネルギー最小配座 S1から0.4 kcal/molのエネルギー幅に2つの安定配座 S2, S3があり,占有率はそれぞれ43% (S1), 24% (S2), 22% (S3)であった(Table 1).これに対して,(R)-1では,エネルギー最小配座 R1が他の配座に比べて1.51 kcal/mol以上安定であり,全体の76%を占めた(Table 2).また,両ジアステレオマーのエネルギー差は小さく(ΔE = –0.09 kcal/mol),このことは,2つのジアステレオマーがDMSO中で50:50の平衡組成になるという観察結果と良く符合した.一方,結晶中では,(S)-1が(R)-1よりも安定なことがわかっている.X線結晶構造解析で得られた(S)-1の配座 S0は S3と良く一致する(Figure 1, Table 3).また,結晶中では,1分子が隣接する4分子と水素結合を形成している(Figure 2b).さらに,結晶密度は(R)-1よりも(S)-1の方が高い.これらのことから,(S)-1では,S3が密に充填し,分子間水素結合も手伝って,安定な結晶を形成していると考えられる.他方,(R)-1では,結晶中の配座 R0は R1とフェニル基の配座と水素結合に違いが見られる(Figure 1, Table 3).結晶密度も低いことから,R1はそのままでは結晶化が困難で,配座と水素結合を変化させて,安定性の低い結晶を形成していると考えられる.
- 2008-12-15
著者
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櫻井 ルミ子
東北大学大学院環境科学研究科
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内田 朗
東邦大学理学部
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服部 徹太郎
東北大学大学院環境科学研究科
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山浦 政則
いわき明星大学薬学部
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服部 徹太郎
東北大学大学院工学研究科生物工学専攻
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山浦 政則
いわき明星大 理工
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