閉塞性動脈硬化症合併透析患者に対する alprostadil 注射剤投与の検討 : Alprostadil 製剤の透析膜への吸着性ならびに透析膜での透析性
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概要
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血液透析患者の高齢化および糖尿病性腎症の増加に伴い閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans以下ASO)の発生頻度は増加している.ASOの薬物療法としてalprostadil製剤(Palux®,Liple®以下先発品製剤)があるが,吸着性ならびに透析性について明記された報告がないため,当院ではASOを合併する血液透析患者に対して透析終了時に投与している.以前われわれは,先発品alprostadil製剤のAPS-13SA®(以下PS)膜への吸着性ならびにPS膜での透析性がないことを報告した.今回は,先発品alprostadil製剤のBG-1.3U®(以下PMMA)膜,FDX-12GW®(以下PEPA)膜への吸着性ならびに各透析膜での透析性について人工透析模擬回路を用いて検討した.また先発品alprostadil製剤と後発品alprostadil製剤(Plink®)のPS膜への吸着性ならびにPS膜での透析性について上記と同様に検討した.その結果,先発品alprostadil製剤において,PMMA膜では吸着施行時除去率8%,透析施行時除去率53%,PEPA膜では,吸着施行時除去率5%,透析施行時除去率8%であった.両膜において,透析膜への吸着が認められる結果となり,PMMA膜とPEPA膜による血液透析施行時におけるalprostadil製剤の投与方法は,透析終了時が望ましいと考えられた.また先発品製剤と後発品製剤のPS膜への吸着性ならびにPS膜での透析性は認められず両者に差がなかった.よって,PS膜による血液透析施行時における両alprostadil製剤の投与方法は,透析施行中のいずれでも可能と考えられた.
- 2008-05-28
著者
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床尾 万寿雄
安曇野赤十字病院腎臓内科
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山田 吉広
安曇野赤十字病院臨床工学課
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須澤 大知
須澤クリニック
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熊藤 公博
安曇野赤十字病院臨床工学課
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袖山 孝徳
安曇野赤十字病院臨床工学課
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百瀬 光生
百瀬医院
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床尾 万寿雄
安曇野赤十字病院 腎臓内科
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