酸化ストレスと睡眠
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
酸化ストレスの除去は,脳機能維持のために不可欠である.そのストレス除去にあたり,スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)やグルタチンペルオキシダーゼ(GPX)は,主要な抗酸化酵素として働いている.興味深いことに,実験動物の睡眠を妨げると,脳内のSOD活性や還元型グルタチオン(GPX基質)量が減少し,酸化型グルタチオン(抗酸化反応物)量が増加するという.つまり,覚醒の持続は,脳内の酸化ストレスレベルを上昇させる作用があるようだ.われわれは,t-ブチルヒドロペルオキシドを用いて,ラット脳に酸化ストレスを負荷したところ,睡眠量の増加と,視索前野/前視床下部におけるアデノシンや一酸化窒素遊離を観察した.この結果は,ある程度の酸化ストレスには睡眠物質遊離や眠気を促進する効果があることを示している.つまり,覚醒が脳内に酸化ストレスを生み,これをトリガーにして睡眠という脳保護活動が誘発される可能性が示唆された.
- 2007-06-01
著者
関連論文
- 体内時計におけるNMDA受容体サブタイプの役割
- NMDA受容体サブタイプノックアウト動物に対する制限給餌同調の効果
- カルシウムイメージング法を用いた視交差上核NMDA受容体の機能解析
- 2R18 NR2A欠損マウスにおける瞬目反射条件付け初期の学習傷害
- 1U27 Ca^imaging法による視交差上核NMDARサブユニットの機能解析
- 1T01 Ca^imagingによる小脳NMDA型受容体NR2A/2Csubunitの機能解析
- PLCβ4ノックアウトマウスの脳機能異常
- アストログリア特異的に発現する Glial Fibrillary Acidic Protein (GFAP) の概日リズムにおける役割について
- 2R23 オピオイド受容体刺激による細胞内ストアからの一過性Ca^放出
- 酸化ストレスと睡眠
- サーカディアンリズムの解析法個体行動, 神経活動から分子リズムに至るまで
- 視交叉上核ニューロンにおけるサーカディアン細胞内Ca^濃度リズムの発見 : その時間生物学におけるインパクト
- 概日リズムとセロトニン神経系 (特集 時間薬理学--新しい投薬の指針)
- 生体情報伝達過程のイメ-ジングの試み (特集 バイオ新技術の開発とバイオトレ-ニングプログラムの開発)