心不全におけるアルドステロンの意義
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概要
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心臓はポンプ臓器であることから,心不全は,一見,ある基礎疾患によって生じた心臓の拍出低下がその全ての原因である様に思える.しかしそうではなく,低下した心機能を維持すべく種々の代償機構の「働き過ぎ」が,結果的に心不全を悪化させている.よって,過剰に活性化したホルモンバランスを修復すれば心不全は改善するはずである.心臓の動きを無理に上げる治療よりも,ホルモンバランスを改善させる治療がより優れていることは最近の多くのエビデンスで証明されている.心不全の病態形成に,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系の亢進の関与は重要であるが,最近注目されているのは,心臓組織内でのRAA系の活性化である.アンジオテンシンII(AII)がまさに組織でも合成されるが,心不全や高血圧心においてアルドステロンも合成されることが判明し,極めて興味深い.アルドステロンは酸化ストレスをもたらし,心臓の繊維化を促進する.よって,アルドステロンを抑制する治療はAIIを抑制する治療と同じ位に大事であろう.心臓においては,アルドステロン以外のステロイドが合成されることも徐々に明らかになっており,心臓を保護すると思われるdehydroepiandrosterone(DHEA)が微量ながら分泌されている.そして,興味深いことに,adrenocorticotropic hormone(ACTH)の合成も確認されており,心臓アルドステロンは,AIIとともにACTHにても合成促進される可能性がある.心臓アルドステロンの合成と作用を抑制するホルモンとして,ナトリウム利尿ペプチドがある.副腎のみならず心血管系においてその作用を発揮し,心不全の進展を抑制している.心不全の治療はまさにホルモン治療であり,ホルモンバランスを改善させることを主眼におくことが肝要である.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2005-12-01
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