真菌感染と好中球ミ***ペルオキシダーゼ
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概要
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ミ***ペルオキシダーゼ (MPO) は好中球と単球のみに存在し, 過酸化水素と塩素イオンから次亜塩素酸が産生される反応を触媒する. 筆者はMPOのノックアウト (MPO-KO) マウスを作製して, このマウスの真菌易感染性を解析した. MPO-KOマウスはクリーンな環境下では何ら異常を示さない. ところが, C. albicans を経鼻接種すると, 野生型マウスはまったく死ななかったのに対し, MPO-KOマウスは感染後5日目までに肺炎を起こして大半が死亡した. さらに, A. fumigatus, C. tropicalis, およびT. asahii を接種した2日後の肺での殺菌能も, 野生型に比べて有意に低下していた. MPO-KOマウスのC. neoformans に対する防御能の低下は接種後7日を過ぎてから現れはじめ, 30日後から顕著になった. すなわち, MPOはこれらの真菌に対する生体防御に重要であることが示された. 次に, MPO-KOマウスのC. albicans 易感染性をNADPH-オキシダーゼ欠損マウス (CGDマウス) と比較した. CGDマウスの感染重篤度は菌の接種量依存的に増大した. 一方, MPO-KOマウスは低量の接種では野生型と同程度の軽度な感染しか示さなかったが, 高量を接種するとCGDマウスに匹敵する重篤な感染症状を示した. すなわち, MPOは多量の菌が感染した際の生体防御機構として, NADPHオキシダーゼと同等の重要性を有していることが判明した.
- 2006-07-31
著者
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