歯冠サイズに基づく未成人骨の性判定 : 性差の集団間変異の検討と出土人骨への応用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
未成人骨の性判定を行うため,北部九州・山口地方の弥生・室町人骨,及び九州地方と近畿地方の近現代人骨を対象に,骨格形態や記録資料から性別が明確な成人骨の歯冠サイズに基づく判別関数を集団ごとに算出した。判別関数の的中率は,年齢と共に利用可能な歯種が増加するため,70〜100%の範囲で変化した。実際に性別の記録が残されている近現代の未成人骨を用いてその有効性を検証した結果,各判別関数で予測される的中率と概ね同等の正答率が得られた。また,性判定される未成人骨の個体ごとに最も的中率の高い判別関数を適用した場合は,九州地方の未成人骨では11体中10体(90.9%),近畿地方では26体中22体(84.6%),西日本(九州地方 +近畿地方)の判別関数では97.3%(n = 37)の性判定に成功した。弥生時代の未成人骨を性判定した結果,隈・西小田遺跡において性比が男性に大きく偏っていた可能性(男性10体,女性3体:p = 0.052)が示された。
- 日本人類学会の論文
- 2005-12-01