小型廃プラスチック油化プラントの経済性評価
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概要
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日本では, 廃プラスチックの油化リサイクル率は現在1 wt% 以下であり, 廃プラスチック油化プラントの商業化が大幅に遅れていることを示している。1990〜2000年の間に開発された小型油化プラントの性能と価格を調査したところ, プラントのリアクターはほとんどバッチ式タンクリアクターであった。他に数種のフローリアクターが見い出された。バッチ式プラントの油化処理能力は1.5 t/d 以下であり, タンクリアクターの一台あたりの能力は1.0 t/d 以下であった。そこで, 各プラントの価格と油化能力のデータを利用して, 企業がプラスチックの油化事業を開始するにあたっての処理費用を計算した。プラントの能力が1.0 t/dで0.7億円, および1.5 t/dで0.8億円の時, その処理費用はおよそ (-)38.1円/kgと (-)7.8円/kgであった。バッチ式タンクリアクターによる油化リサイクルは事業として成立困難なことが認められ, リサイクル率の著しく低い原因が明らかになった。しかし, フローリアクターは2.4 t/dで0.5億円の時に (+)23.5円/kgであり, 油化事業可能な利益をもたらすことを示した。バッチ式タンクリアクターを用いた油化事業は処理能力が2.0 t/d以上において利益をもたらす。廃プラスチックの油化によるリサイクルにはフローリアクターが有利であるが, 分解反応の反応制御を必要とする。
- 公益社団法人石油学会の論文
- 2003-01-01
著者
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道祖土 勝彦
日本大学理工学部薬学科
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黒木 健
工業化学科
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黒木 健
(有)高分子分解研究所
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石原 由美子
(有)高分子分解研究所
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道祖土 勝彦
日本大学薬学部
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石原 由美子
(独)産業技術総合研究所
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道祖土 勝彦
日本大学薬学科
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