学術出版システムの根底にあるもの(<特集>学術情報流通としての出版)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
学術出版は多くの要素が相互にからみ合う,複雑多岐なひとつの社会的ないし技術的過程である。したがって学術出版を論ずるには,そうした広範な全容に眼を配らねばならぬと同時に,議論の対象を明確にしぼらなくては,有効な議論となりえない。本稿では学術出版の諸要素を,過程,機能,環境,当事者,メディアの5つのグループとして捉えている。学術出版を複雑にしているもうひとつの理由は,その主要概念が,いずれも両義的,多義的であるためである。たとえば我々は学術出版を学術情報の伝達といった一面的な解釈で処理することはできない。学者のかくされた動機として,成果の誇示,威信の獲得があることを考慮しなければならないのである。本稿は残りの部分で,学術出版のいくつかの具体的問題について,その根底にある学術出版の基本的性格への考慮を促している。
- 社団法人情報科学技術協会の論文
- 2003-09-01