生体肝移植と脳死肝移植 : 世界の趨勢と我が国の現状
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概要
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欧米ではこの20年間に肝移植の適応疾患は大きく変化した. 現在はウイルス性肝硬変, アルコール性肝炎, 肝癌が主要な適応疾患となっており, C型肝炎における移植後再発, 肝癌の移植適応基準が問題となっている. 脳死肝移植先進国である米国では, 生体肝移植も絶対的なドナー不足の解決策の一つとして1997年頃より急速に普及し, 現在まで2,600例を越えるが, 現在はその実施につき見直しがされている. 我が国では2005年3月までに全国50超の施設で合計2,800例以上の生体肝移植が施行されている. 中でも成人症例が1999年以降急速に増加しており, 特に欧米同様, 肝癌, ウイルス性肝硬変症例が増加している. 成績は小児症例の方が成人症例より有意に良好であり, 胆汁鬱滞性疾患と代謝性疾患の予後が良好であった. ドナーの合併症は右葉グラフトで19%と多く, また約半数のドナーは何らかの症状が残っていると自覚しており, 約40%のドナーが将来に不安を感じている. 一方, 我が国では1997年の脳死法案制定後未だ28例の脳死肝移植しか施行されていない. すなわち脳死肝移植数が生体肝移植の1/100にも満たない. この現状は移植医療の本来あるべき姿とは言いがたく, さらなる脳死移植の普及, 即ち臓器提供を推進する活動が急務である.
- 2005-06-25
著者
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藤堂 省
北海道大学第1外科
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藤堂 省
北海道大学 医学部保健学科・北海道大学病院第一外科
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嶋村 剛
北海道大学病院第一外科
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谷口 雅彦
北海道大学病院第一外科
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鈴木 友己
北海道大学病院第一外科
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山下 健一郎
北海道大学病院第一外科
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古川 博之
北海道大学病院第一外科
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谷口 雅彦
北海道大学 大学院消化器外科・一般外科学
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山下 健一郎
北海道大学分子制御外科
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山下 健一郎
北海道大学 大学院医学研究科外科治療学講座消化器外科
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嶋村 剛
北海道大学 医学部附属病院臓器移植医療部
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鈴木 友己
北海道大学 大学院 医学研究科 置換外科再生医学 講座
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古川 博之
北海道大学 大学院 医学研究科 置換外科再生医学 講座
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鈴木 友巳
北海道大学大学院医学研究科置換外科・再生医学講座
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