マウス歯胚における p63 の局在
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概要
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p63はp53ファミリーの一員であり, 正常な胚発生に必須である.p63ノックアウトマウスでは, 四肢や上下顎の形成不全に加えて表皮や毛包, 乳腺, および歯など, 上皮間葉相互作用に依存する器官の発生が著しく阻害される.しかし, 正常な歯胚発生においてp63遺伝子産物の果たす役割については未だ十分に解明されていない.本研究の目的は, 免疫組織化学的手法を用いたp63タンパク検出の至適条件を求め, この条件を用いて歯胚の発生過程におけるp63タンパクの局在を解明することである.本研究では, 蕾状期(E13.5), 帽状期(E14.5)および鐘状期(E16.5)のマウス歯胚におけるp63タンパクの発現を, 免疫組織化学的手法を用いて検討した.ブアン固定, パラフィン包埋切片上での検出における前処理の必要性, および一次抗体の希釈濃度について検討した結果, クエン酸緩衝液を用いた熱処理を行い, 抗体を1 : 25に希釈した場合に最適な状態を得ることが分かった.また, 蕾状期歯胚では, 口腔上皮と歯胚上皮の基底膜に沿った細胞の核に, 帽状期では, 口腔上皮, 歯堤, 外エナメル上皮陽性反応が認められた.鐘状期では, 臼歯および切歯の口腔上皮, 歯堤, 外エナメル上皮に認められた.これらの結果は, p63タンパクが歯胚発生の開始期だけでなく, 蕾状期や帽状期, 鐘状期においても形態形成に関与していることを示唆する.
- 九州歯科学会の論文
- 2002-04-25
著者
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