シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の試験管内世代交代
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概要
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試験管内で生活環を完結しあるいは制御できれば, 母系半数体育種, 試験管内世代交代促進, 試験管内交雑育種等の育種操作を植物工場内で成り立たせ, 植物育種工場とも言える植物産業を育成できるのではないかと考えられる. 試験管内での植物の生活環の完結の事例は少ない. 事例を増やし, 生活環の完結し難い部分を解析できる系が得られると新しい研究分野と産業分野の育成が進むと考えられる. 本研究では, シロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana) を用いて試験管内での生活環を検討した. シロイヌナズナ種子を通気膜をつけた225 ml の培養瓶に分注した30 g/l ショ糖, 8 g/l 寒天を含むムラシゲスクーグ培地で22℃, 16時間明期で培養すると, 100% の培養体から花芽が誘導され, 67%の培養体が種子を形成し, 生活環が試験管内で完結可能となった.試験管内で得られたすべての種子がポット栽培で発芽し, 生育した幼植物に形態上の変異はみられず, 試験管内種子は正常と考えられた.試験管内で形成された種子は試験管内で, 発芽し, 花芽が誘導され, 第3世代の種子が試験管内で形成され, 連続的に生活環の完結が可能と示唆された. 本系は試験管内での生活環, 試験管内世代交代促進, 試験管内交雑育種等の研究に役立つモデル系として活用可能と考えられた.
- 日本生物環境工学会の論文
- 2005-01-05