2004年ノーベル賞(生理学・医学賞)によせて
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概要
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2004年ノーベル賞の生理学、医学賞が、「匂いの受容体と嗅覚のメカニズムの研究」に授与された。この分野では良く知られている研究者、コロンビア大のリチャード、アクセル教授とハッチンソン、ガン研究センターのリンダ、バック博士の2人である。今回の受賞は、われわれ嗅覚関連の研究者にとって大変喜ばしいことであり、快挙といえる。これまで長いあいだはっきりしなかった匂い分子の受容体とそのシステムが、近年の遺伝子工学的、分子生物学的手法を駆使してやっと解明された意義は大きい。嗅覚の研究は、視覚などのそれに較べておくれていたことは確かなのだが、それでも日本でわれわれがスタートさせてからもう40年を越している。1950年代後半の感覚生理学の研究は、おもに医学部の生理学分野の研究者がおこなっていた。その頃はちょうど「微小電極法」がアメリカから移入されてきた頃で、とくに神経系などの興奮性組織の研究には魅力的な手法であったために、全国の生理学者に素早く広がって行ったのだ。この方法は、特にシングルの細胞の活動が記録できるために、当時細かなメカニズムも集合体を通しての現象から類推せざるを得なかったことを考えれば、やはり画期的なことであった。
- 日本味と匂学会の論文
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