腹部造影CTにおいて肝細胞癌周囲に出現する High density ring(Corona)の臨床的意義についての検討
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概要
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腹部造影CTで現れる肝細胞癌周囲の濃染帯 (high density ring; Corona) は, 肝細胞癌 (HCC) の特徴的な所見である. Corona の臨床的意義について, HCCの診断で手術を行った62症例をもとに検討した. Corona は62症例中55症例 (88.7%) で陽性であった. 有意差は認められなかったが, CT動脈相における腫瘍膿染の程度が強い症例ほど, また病理学的被膜 (fc) を有する症例ほど, Corona の陽性率が高い傾向にあった. 病理学的被膜のないものでも Corona が出現する例があり, Corona の出現率に非癌肝組織 (硬変・非硬変) による差異はみられなかった. 腫瘍の分化度別にみると高分化で5例中2例 (40%), 高/中分化で10例中10例 (100%), 中分化で40例中38例 (90.5%), 中/低分化で3例中3例 (100%), 低分化で2例中2例 (100%) に Corona が認められた. 高分化例と高/中分化例の間には Corona の陽性率に有意差がみられた. Corona はHCCにおいて腫瘍内血流の反映であり, その分化度と関連があると考えられた.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
- 2004-10-25
著者
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大坪 毅人
東京女子医大消化器病センター
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山本 雅一
東京女子医科大学 消化器外科
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高崎 健
ムラタクリニック
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高崎 健
東京女子医科大学 消化器放射線科
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小泉 哲
東京女子医科大学
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吉利 賢治
東京女子医科大学
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