17世紀初頭ロンドンの金糸銀糸に見る色彩の消費
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概要
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この論文は色彩文化史の視点から、17世紀初頭の染織品に用いられた金と銀を追究する。方法論として3つの視点から考察する。まず、一時的消費を論じるために演劇のための衣裳を考察する。第二に、恒久的消費を論じるために、英国国教会の地域教会への寄贈染織装飾品を考察する。最後に、個人的消費を鑑みるために、家庭内における染織品を考察する。金・銀の色彩を身につけることは、普遍的ともいえる高い社会地位を表現するための身体言語である。ローマ・カトリック教会の一元支配と封建社会にあっては、金糸銀糸の使用は主にカトリックの司祭と封建国王に独占されていた。しかし宗教改革後、西ヨーロッパの社会構造は変化し、金糸銀糸の消費はより拡大した。権威を表象するための金と銀の消費は、イングランドの王族のみならず、中上流階級もまた金銀を染織用に用い始めた。結果的に異なる社会階層間に軋轢が起こり、それは奢侈禁止令の発令のきっかけとなった。金糸銀糸の消費量は、ゆえに消費者の社会地位に正比例していたと考えられる。ルネサンス運動や宗教改革運動の思想的な波及を鑑みながら、ケーススタディを通じてこの消費の主題を分析する。
- 日本色彩学会の論文
- 2000-03-01
著者
関連論文
- チャールズ・ヘイター著, 『新・三原色に関する実践論』, (46ページ 図版5点 25.6cm×16.0cm×0.7cm), 第二版・改訂版, ロンドン:ジョン・ブース書店, 1830年(巻頭グラビアカラーアーカイヴス)
- 中島武太郎著, 『通俗精解 色彩理論大要と染色』, 東京(丸善株式会社), 1939年, 初版(縦19.0cm×横13.6cm×厚さ1.4cm, 204頁 他索引・彩色図版3頁)(巻頭グラビア カラーアーカイヴズ)
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- ジョセフ・プリーストリー著, 『視覚、光、色彩に関する発見の歴史と現状』, ロンドン(J・ジョンソン書店), 1772年, 初版, 縦27.3cm×横21.5cm×厚さ5.5cm, 812頁 他索引・図版24頁(巻頭グラビア カラーアーカイヴス)
- ジェイムズ・ワード著, 『色彩の調和と対比 : 美術学生、デザイナー、装飾美術家のために』, ロンドン(チャップマン&ホール書店)1903年初版, 縦24.2cm×横16.0cm, 140頁, 16彩色リトグラフ図版
- ジョージ・ヘンリー・ハースト著, 『色彩論ハンドブック』, ロンドン, (スコット、グリーンウッド・アンド・カンパニー書店)1900年(縦22.4cm×横15.0cm 158頁 72図版 内10彩色リトグラフ印刷図版)
- アーサー・ハーバート・チャーチ卿著, 『色彩:学生のための初級マニュアル』, 第二版, ロンドン, キャッセル, ペッター&ガルピン社, 1891年, 縦18.5cmx横12.0cm, 192頁, 図版37頁, 内印刷彩色図版6頁
- ウィリアム・ベンソン著『色彩学原論:装飾美術への活用のために』, ロンドン(チャップマン&ホール書店), 1868年, 縦27.8cm×21.5cm, 48頁, 図版一部手彩色(カラーアーカイヴス色彩学古典書・貴重資料)
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