Temporary Anchorage Device の形態が顎骨の応力分布に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
近年, 確実な顎骨内固定としてチタンスクリュー等のTemporary Anchorage Device (TAD)を用いた歯科矯正治療法が臨床で応用されている.現在, TADとして様々な形態のスクリューが利用されているが, その形態が, 顎骨に及ぼす力学的影響についての報告はない.今回, スクリュー型TADの形態の相違が, 顎骨の応力分布にどのように影響するかを3次元有限要素法により検討し, その最適な形態について考察した.スクリュー体は, すべてチタン製とし, スタンダードタイプ, スレンダータイプ, ショートタイプおよびコニカルタイプの4タイプとした.また, 歯槽骨は皮質骨を1mm, それ以外の部位を海綿骨と規定した.解析モデルは, 3次元ソリッドモデラーで作製した.応力はスクリュー型アンカーに対して水平方向への荷重とし, 解析には汎用構造解析プログラムを用いて線形静解析を行った.その結果, すべてのタイプのTADで皮質骨相当部位の表層に応力が集中することがわかった.また, スレンダータイプが単位面積あたりの応力集中が極端に大きく, コニカルタイプが最も小さかった.スタンダードタイプとショートタイプ間では, 大きな相違は認められなかった.以上のことより, スクリュー型TADはその固定力の大部分を皮質骨表層部で負担しており, その応力分布には, スクリュー体の長さよりも, その上部の直径が影響する可能性があること, また, 可及的に皮質骨表層部に広く表面積をもつコニカルタイプのTADの応力分布効率が高いことが示唆された.
- 大阪歯科学会の論文
- 2005-03-25
著者
関連論文
- 自動心理診断システム(MINI)による顎変形症患者の男女間における性格傾向の検討
- 矯正力荷重時におけるスクリュー型Temporary Anchorage Device (TAD)の内部発生応力について
- 成人矯正患者の心理傾向 : 第1報 : MINI自動心理診断システムによる性別間の比較
- Temporary Anchorage Deviceの形態が顎骨の応力分布に及ぼす影響(大阪歯科大学大学院歯学研究科博士(歯学)学位論文内容要旨および論文審査結果要旨の公表)
- 5 Temporary Anchorage Deviceの形態が顎骨の応力分布に及ぼす影響(第496回 大阪歯科学会例会)
- Temporary Anchorage Device の形態が顎骨の応力分布に及ぼす影響