NMR技術を用いた fat mass/lean mass 測定法の実験動物への応用
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概要
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小動物(マウス)を用いた肥満症·糖尿病などの病態研究や薬理試験において,体組成(体脂肪量)の測定は重要な評価項目であるが,既存の方法は非常に労力がかかったり,遮蔽などの特別な設備を必要とされるため研究者に多大な負担となる.そこで,無麻酔で短時間に非侵襲的測定が可能とされる核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance,NMR)技術を用いた小動物(マウス)用体組成測定システムが新たに開発されたのでその導入評価と応用検討を行なった.はじめにcanola oil,生体軟組織(脂肪組織·骨格筋)やげっ歯類用飼料を用い機器精度について評価をおこなった.その結果,NMR法は従来の化学·生化学分析法と正確性·精密性·再現性の点で同等であり,それらの測定法との間に非常に高い正の相関(y=xの関係)があることが示された.次に,絶食(体脂肪の減少)と高脂肪食負荷(体脂肪の増加)の処置をしたマウスを用いNMR法での体組成の定量性と測定幅を検討するとともに,システムの操作性に関しても評価した.絶食処置については体脂肪率の減少(9.1から5.1%に減少)が明確に検出·定量された.fat massとlean massの減少の合計値(5.0 g)は動物の体重減少分(5.2 g)とほぼ一致した.高脂肪食負荷の動物は,通常食の動物と比較し,週ごとにfat massが増加とlean massの減少する経時的変化が定量された.実際の測定での操作性は簡便で迅速(約1分)であり,かつ任意な場所で測定可能であった.次に,応用として,肝臓の脂質含量およびその変動についての定量性と測定幅を,絶食およびPPARγアゴニストの投与の2種類の処置をおこなったマウスの肝臓を用い評価した.その結果,それら処置による増加および減少が定量的に検出され測定幅も十分広かった.NMR法による総脂肪含量の測定結果は,生化学的測定法による中性脂肪およびコレステロール値の変動とよく一致した.
- 2004-04-01
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