気管支喘息治療薬モンテルカストナトリウム(シングレア^<【○!R】>錠・チュアブル錠)の薬理作用と臨床効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
モンテルカストナトリウム(以下モンテルカスト,シングレア®錠·チュアブル錠)は,キノリン骨格を有する気管支喘息治療薬である.モンテルカストは,CysLT1受容体に対し,極めて高い親和性(モルモット肺膜標本,IC50=0.61±0.09 nM vs LTD4)を有し,その活性はヒト血清タンパクの影響を受けない(ヒト血清アルブミン存在下同標本,IC50=0.42±0.08 nM)という特徴がある.モンテルカストは,内活性を示すことなく選択的かつ競合的な拮抗作用(モルモット摘出気管,pA2=9.3 vs LTD4)を示した.本剤は,麻酔モルモットにおいてLTD4による気管収縮作用を抑制(ED50=0.001 mg/kg, iv)し,覚醒リスザルにおいて抗原誘発による即時型および遅発型の気道抵抗の上昇を著明に抑制した(有効用量0.1 mg/kg, po).さらに,モルモットおよびラットにおけるLTD4あるいは抗原により誘発される炎症に対し抑制作用が認められた.本剤はこれらの薬理学的特徴に加え,10 mg単回経口投与にて有効血中濃度が少なくとも24時間持続することから,1日1回経口投与で軽症〜中等症患者の気管支喘息症状が改善可能であると考えられる.臨床試験において,本剤は,症状·呼吸機能改善効果の発現は速やかで,かつ長期にわたり有効性が持続することが示された.また,本剤は,気道炎症の抑制効果,運動誘発喘息に対する改善効果,ステロイド薬との併用効果を示した.長期試験を含めたいずれの臨床試験においても,副作用の発現率と程度にはプラセボと差がなかった.モンテルカスト1日1回の用法はコンプライアンスが良く,また,長期治療における効果の減弱を生じにくいことから,気管支喘息治療の第1選択薬として至適となるものと期待される.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2002-11-01
著者
関連論文
- NMR技術を用いた fat mass/lean mass 測定法の実験動物への応用
- 16.マウス下部腸管においてpancreatic polypeptideはY4受容体を介して運動性亢進を惹起する(一般演題「消化器2」,第48回 日本平滑筋学会総会)
- Montelukast sodium (MK-476) の一般薬理試験
- ラット後肢骨格筋灌流法におけるAMPK活性化薬の脂質代謝に対する作用
- 気管支喘息治療薬モンテルカストナトリウム(シングレア^錠・チュアブル錠)の薬理作用と臨床効果
- ロサルタンの薬理学的特徴と臨床における有用性
- エンドセリン受容体拮抗薬の可能性 (10月第5特集 Vascular biology--分子生物学と病態・治療) -- (血管病の治療)