正常成人における運動負荷前後の鼻腔 NO と鼻腔通気度・開存度の変化
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概要
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生態防御機構として鼻粘膜は加温•加湿などの重要な働きをしており,生体内外の環境によって腫脹,収縮を繰り返している.運動負荷によっても鼻粘膜は収縮し,その後徐々に負荷前の値に戻るといわれている.本研究の目的は,運動前後における鼻腔抵抗,鼻腔断面積および鼻腔NO濃度を測定し,鼻腔で産生されるNOの呼吸生理学的な役割を検討することである.対象は鼻副鼻腔疾患の既往のない正常成人11名である.運動負荷には気管支喘息運動負荷基準に準じて,トレッドミルを用いて傾斜10°,時速6kmで6分間の負荷を与え,運動負荷の直前,直後,5,10,15,20,25,30分後に左右鼻腔抵抗,左右鼻腔断面積,鼻腔NOを測定した.運動負荷にて,その直後に鼻腔抵抗は低下し,その後徐々に増加する傾向がみられた.一方鼻腔断面積は運動直後に増加したが,徐々に初期の値へと戻った.鼻腔NOの経時的変化は運動直後で減少し,その後上昇したのち,20-25分前後で一時的な減少を示す,逆2峰性パターンを示した.このパターンは,運動によって生じた生体内の変化に対して体内各所でのNOの需要が高まったため,ベースラインへと戻っていたNOが一時的に枯渇したためと考えられ,ひいては生体の恒常性の維持にNO産生が関係していることが示唆された.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
- 2002-12-20
著者
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