語想起に影響するいくつかの要因について
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概要
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語想起に関連すると思われる要因を3つ呈示した.第1の要因:対象では,対象の特性と対象の呈示方法が問題となる.対象の特性は顕在的特性と内在的特性とに分類できる.従来,失語症研究のなかで最も注目されてきた要因であり,語の出現頻度,具象性など多数の要因についての検討がみられる.第2の要因:感覚入力には,視覚,聴覚,触覚,嗅覚,味覚などがあるが,通常の語想起は視覚に依存していることが最も多い.この要因は通常の失語症では明らかではないが,視覚性失語,触覚性失語では重要である.第3の要因:意図は,語想起が刺激誘発的に行われるか,内発的に行われるかの相違を表している.前者を呼称,後者を喚語,両方をまとめて語想起と呼ぶ.この要因はPitre型の健忘失語で明らかである.これらの要因はそれぞれ独立のものではなく,ある事象のさまざまな側面であり,重複し,相互に関連して語想起過程に関わっているものと思われる.
- 日本コミュニケーション障害学会の論文
- 1996-12-25
著者
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