自閉症児の話題の種類の拡大 : 絵日記指導をとおして
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概要
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自閉症児の会話能力の障害として,会話の開始の少なさ,相手の意図の読みの困難さ,同一話題での持続の障害,話題の唐突な変換などがある.一方で自閉症児は興味や関心の偏りが大きく,固執行動がみられる.この固執性は,会話においては話題の乏しさとして現れ,開始や持続の困難さとも結びついているのではないだろうか.学齢期に達して文字の学習も可能になった1自閉症児に絵日記を用いて話題の種類を増やし,興味・関心を拡げることを試み,結果的に応答が安定し他者への質問が増え,内容が豊かになった.2年間にわたる指導において絵日記の題材と会話は,(a)筆者が提案する話題に応じ,題材の種類が増え始め,興味・関心が拡がり始めると応答そのものが安定する,(b)筆者の題材に興味をもち,模倣をして描くようになると自分から質問することが増える,(c)場面や状況の理解がよくなり,経験をまとめた形で書く頃には複雑な質問の発信や応答が可能になり,表現に感情がこもるようになる,と変化した.
- 日本コミュニケーション障害学会の論文
- 1998-08-30