光電子分光法によるシリカ飽和-鉄シリケートスラグ中の銅の存在形態分析

概要

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種々の硫黄分圧下でシリカ飽和−鉄シリケートスラグ中に溶解している銅の存在状態が酸化物状態であるか硫化物状態であるかを明らかにするために光電子分光法を用いた分析を行った。まず，酸素と硫黄分圧を制御した雰囲気のもと1,573 K で実際の銅精鉱を製錬して得たマットとスラグについて分析した。次に，少量の銅が溶存したシリカ飽和−鉄シリケートスラグを種々の硫黄分圧の気相と平衡させた試料をXPS で分析した。酸素と硫黄分圧は実際の銅製錬におけるものとほぼ同じになるように制御した。酸素分圧は約10-3 Pa と一定にし，硫黄分圧を0 〜 3.5 × 102 Pa まで変化させてスラグと平衡させた。スラグ中のCu2p3/2 のXPS スペクトルと Cu のL3M45M45オージェ電子のスペクトルを示し，その結果，スラグ中の銅は酸化態で存在していることが分かった。硫黄分圧を増大，すなわちスラグ中の硫黄濃度を増大しても対応した化学シフトは認められなかった。また，スラグ中の硫黄濃度からサルファイドキャパシティを決定した。
社団法人資源・素材学会の論文
2001-04-25