イチジク果実の生育に伴う糖質変化および糖質代謝に関与する酵素活性の挙動
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
樹上でのイチジク果実の生育と肥大に伴う糖質含量と,糖質代謝に関連する酵素活性の挙動について調べた.<BR>デンプン含量は,いずれの果実においても低レベルであった.糖含量は,果皮の着色に伴って急激に増加した.これに対してα-およびβ-アミラーゼ,α-グルコシダーゼ(マルターゼ),β-フルクトフラノシダーゼ(スクラーゼ)とUDPグルコース-フルクトース グルコシルトランスフェラーゼ(ショ糖合成酵素)の5つの酵素活性は,いずれも特異的な2相から成る2つのピークを形成した.これら5種類の酵素活性の第1ピークは,イチジク固有の花器(小果)形成時期と一致していた.酵素活性の第2のピークは,成熟期から完熟期にかけての最終段階において出現した.糖含量の増加に先行して,成熟期の約10日前にα-およびβ-アミラーゼ活性の急峻な一時的ピークが観察された.これに対してα-グルコシダーゼ,β-フルクトフラノシダーゼおよびショ糖合成酵素の活性は,糖含量の増加する時期に一致して増大し,完熟期には急減に転じた.成熟過程におけるイチジク果実のこれら生化学的変化と,熟度および収穫適期との関連を推論した.
- 社団法人 日本食品科学工学会の論文
- 1995-04-15