簡易液体通気培養で増殖したササユリ球根の開花促進
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概要
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1.簡易培養槽を用い, 5~6カ月間, 23°C•暗黒•ショ糖添加培地で液体通気培養することによって得た球根は, 16週間の出葉試験中に出葉せず, 休眠状態にあることがわかった.<BR>2.土壌へ移植する前に, 培養球根を8~12週間,4°Cで冷蔵処理することによって, 休眠が打破され,その出葉および生育が促進された. また, 200mg•liter-1 GA3溶液で球根を浸漬した場合も, 同様の促進効果を示したが, その程度は, 冷蔵処理と比較して劣った.<BR>3.球重200mg以上から300mg未満の培養球根を1作して得られる球根の球周の平均は, 6.3cmとなった.4.球周5.0cm以上に肥大した球根を栽培すると,多くの個体で抽台がみられた. 12月に鉢に植えた球周6.0~6.4cmの冷蔵球根では, 翌年3月, その80%が開花した. また, 開花した株の草丈は20cm程度, 花数は1輪であった.<BR>5.培養球根から養成した球周6.0~11.4cmの球根を冷蔵して10月に植えた場合, 年内に開花する株もあった, 一方, 冷蔵せずに10月に植えた同様の球根は, 草丈35~40cmで5~6月に開花し, 球周10cm以上の球根では, 花数2輪のものもあった. また,植えた球根の球周が7cm以上の場合, 栽培終了後に掘り上げた球根の球周の平均は11.9cm以上となった.<BR>6.以上の結果から, 簡易培養槽による液体通気培養で大量増殖した培養球根を利用し, 冷蔵処理やハウスなどでの栽培を組合せることによって, 短期間 (栽培1~3年) でササユリの切り花や鉢花を生産できる可能性が見出せた.
- 園芸学会の論文
- 1995-09-15