小売競争における組織革新を加速する構造--台湾セブンイレブンを例に
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概要
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市場志向型組織は卓越した能力をもち,それをもって価値ある顧客を引き付け,とらえる。このような独自の運営能力は,組織の核心事業における専門技術と知識管理に由来している。知識管理に関する最近の著作は,形式知と情報処理技術のフィールドを重視しており,暗黙知に対するものはまだ少ない。本稿で取り上げる台湾セブンイレブンは,市場知識の活用と情報処理技術と個人間の活発な情報交換とによって,技能・知識間のバランスに卓越しており,形式知と暗黙知を統合した知識転換のスパイラルと組織間協働による組織革新を達成している。これがまさに台湾セブンイレブンが成功した所以と言える。本稿の目的は市場志向概念を軸に,さらに知識転換のスパイラル(SECI モデル)と結合させながら,組織間協働による小売組織革新の加速を説明するためのフレームワークを構築することにある。競合企業による絶えざる模倣や技術の普及は,競争優位を弱めてしまう。そこで,本稿では組織革新の概念を援用し,知識創造型の小売企業がどのように知識を蓄積し,形成した能力を有効活用するのか,また,いかにして市場での競争優位を長期にわたって保つのかを探っていく。
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