<総説>大脳皮質構築過程における神経栄養因子の役割に関する研究
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概要
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脳神経系の形成過程を分子レベルで解明し,神経疾患の病態の理解,治療法の開発に生かすことは神経科学研究の大きな目標のひとつである.神経栄養因子は脳の形成過程で重要な役割を果たすと推定されているが,実際には培養系を用いた断片的な知見しか得られていないのが現状である.成熟脳にも神経幹細胞が見いだされ,その臨床応用が視野に入った現在,神経幹細胞から神経細胞へと至る道筋に神経栄養因子がどのような役割を果たすのかを解明することは大きな意義があると考えている.本研究では大脳皮質形成過程に着目し,特に生体系での実験を中心に脳の形成過程に及ぼす神経栄養因子の役割について検討した.本研究結果から水頭症をはじめとする先天性の脳形成異常疾患に神経栄養因子の発現異常が関与している可能性が示唆された.ならびに正常な大脳皮質の発達には秩序だった神経栄養因子の発現が密接に関わっていることも明らかにした.
- 岐阜薬科大学の論文
- 2003-06-30