骨髄増殖症候群におけるN-ras,p53遺伝子の変異の検討
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概要
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骨髄増殖症候群(myeloproliferative disorder : MPD)には真性赤血球増加症(polycythemia vera: PV),本態性血小板血症(essential thrombocythemia : ET) ,原発性骨髄線維症(idiopathic myelofibro-sis : MF)が含まれ,骨髄系細胞の慢性的な増殖を主徴とするが,その発症や病期進展に関与する分子病態については未だ不明の点が多い.我々は,本邦のMPD64症例(PV15例,ET38例,MF11例;慢性期例計58例,白血病化例計6例)につき,造血器腫瘍で多く変異がみられるN-rasおよびp53遺伝子の変異についての解析を行った。患者骨髄から得られたゲノムDNAからN-rasのエクソン1,2およびp53のエクソン5-9をPCRにて増幅しシークエンスを行ったところ,N-ras遺伝子の変異はいずれの症例においてもみられなかったが,2例において計3つのp53遺伝子の変異が認められた。これらのうち1例はPVから慢性好中球性自血病に移行した症例であり,p53遺伝子のエクソン5内での点突然変異が認められた。他の1例はETから急性骨髄性白血病に移行した症例であり,p53遺伝子のエクソン7内の点突然変異とエクソン5内の18bpの欠失がみられ,これらの2つの変異は別々のアレルで生じていることが示された.以上の結果より,MPDにおいてN-rasおよびp53遺伝子の変異の頻度は低いが,後者は病期の一進展に関与している可能性が示唆された。
- 獨協医科大学の論文
- 2003-03-25
著者
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