新たな製品概念への試み : 「数楽アート」の考察
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概要
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研究ノート株式会社大橋製作所が市場に送り出した「数楽アート」は,現代の先進国が,そして現代資本主義経済が展開すべき,新たな製品概念を提起している。「数楽アート」を“数学を楽しむアート”と理解した場合の,“数学を楽しむ”の意味には三つの側面がある。すなわち,“ゲームとして楽しむ”,“サイエンスとして楽しむ”,“アートとして楽しむ”である。つまり,「数楽アート」は,“アートとして楽しむ”ことに含まれ,しかも,“アート”が工業製品として市場に送り込まれたことに現代的意味が存在する。先進国経済の在来的・先端的諸産業は現在新興国,途上国に移転しつつある。先進国経済は,いわゆる「産業空洞化」,実体経済の後退が進展している。言い換えれば,先進国経済は新たな産業の創出,そのための新たな製品の創造を必要としている。先進国経済の従来の製品概念は,大量・高度・先端等々として特徴づけられてきたが,今日,グローバルな規模の環境制約・資源制約に直面している。その結果,先進国における新たな製品はそれ自体もその概念も創造されなければならない。「数楽アート」に代表される製品の誕生の意義はまさにそこにあり,歴史的な系譜をもちながらも,現代資本主義経済の開かれるべき地平に立っている。
著者
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