第一回千葉医学会奨励賞 BHD遺伝子異常に起因する多発性肺嚢胞疾患の病理 : 反復性気胸に対する新たな洞察
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概要
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Birt-Hogg-Dube (BHD)症候群は皮膚線維毛包腫,腎腫瘍,肺嚢胞及び気胸を主な症状として呈する常染色体優性遺伝性疾患である。本研究では,家族歴の明らかでない反復性気胸を呈した症例に対し,胸部画像及び病理組織学的特徴からBHD症候群を疑い,BHD遺伝子解析を施行し遺伝子変異を同定した。胸部CTでは下葉縦隔側に多発する肺嚢胞を認め,病理組織学的にはその壁の一部を小葉間隔壁と共有し,嚢胞壁内側には肺胞上皮が一層配列する上皮性嚢胞であった。 BHD症候群における肺病変は予後良好であり,予後規定因子となりうるのは腎病変であることが知られている。しかし,肺病変は腎病変に先駆けて発症することが多く,肺病変を呈した時点で診断を確定させることは予後の向上につながりうると考えられる。 BHD症候群の肺病変に関する詳細な病理学的検討は今日までほとんど報告がなされていない。本稿ではBHD症候群の疾患概念と病理組織像,特に肺嚢胞性変化の病理像について自験例を交えて概説する。