今日の社会における子育て支援の意味と保育士の役割 : 犬山市の調査をもとにして
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
わが国における「子育て支援」という言葉の意味について考察した.この言葉が使われ始めたのは平成3年頃であるが,その時の文脈は「相談」であった.時代とともに,少子化対策,家庭と仕事の両立という文脈の中で,多様な保育サービスを意味するようになるとともに,行政が実施する事業,さらに今日では経済的支援を含む広範囲な概念へと変容してきている.平成20年3月の保育所保育指針の改定(告示)では,保育所及び保育士の役割として「保護者に対する支援」が明記され,「保育所に入所している子どもの保護者に対する支援」がその一つとして求められている.その支援を十全に進めていくにあたり,犬山市は保護者アンケートを実施した.その結果,子どもの年齢や家族構成,兄弟姉妹構成によって,子育ての不安や負担の受け止め方に違いがあること等が明らかになり,家族の事情に応じたピンポイント的な支援の必要性が示唆された.また,「子育て支援」の原点である「相談」を意識した保育所の役割の意味づけとともに,組織としての対応の必要性と課題を指摘した.