メディアと身体
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概要
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本稿の目的は、身体の社会学を論じた論考において前提にされているメディア観を概観し、さらにそのなかに含まれるコミュニケーション観を探っていきながらメディア論の課題を考察することにある。身体の社会学を周到に整理したブライアン・S・ターナーおよびアーサー・W・フランクの論考を参照しながら、各論理において念頭におかれているメディアを抽出し、メディアと身体が論じられてきたなかで暗黙におかれてきたコミュニケーション観が考察される。そこに欠けているものはメディアとしての身体、方法論としての個人と社会の対立の解消、メディアの主体や意図や目的、コミュニケーションで含意される事態の洗練、アイデンティティの問題である。これらを補填することによって、結論としてメディアと身体を起点とするメディア論の論じていくべき課題を示した。メディアと身体を基点とするメディア論は、従来のメディアの捉え方を拡大し、メディアとしての身体から社会というメディアまでの視点を持ち、そこでの生存と共在と共存の技法またその手段およびその目的の諸矛盾を、それらの技法の意図せざる結果として指摘していかなくてはならない。
- 関東学院大学経済学部教養学会||カントウ ガクイン ダイガク ケイザイ ガクブ キョウヨウ ガッカイ||The Society of Liberal Arts Kanto Gakuin University,関東学院大学経済学部教養学会の論文